難しい本に挫折しても、劣等感を感じる必要なし。ストレスフリーで本が読める『読書術』が最高だった

4.5
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こんにちは、アユムです。

最近は読書術の本を読み漁ってまして、あらゆる世代の著者の本を読んでいます。

そのなかに、1962年に書かれた『読書術』(岩波現代文庫)があります。

昔の本だし、岩波書店だし、難読本買っちゃったかな…と思ったのですが、杞憂に終わりました。

読んでみると超おもしろい。僕はこの本を読んだおかげで、パッと視界が開けました。

本を遅く読むことで得られる読書効果

この本のタイトルはそのものズバリ『読書術』。

僕がこの本で一番印象に残ったのは、本を遅く読むことの効用について言及しているところです。

読書術というと、速読がメインになりがちです。実際、僕がこれまで読んできた読書術の本は、いかに本を速く読むかについてページの多くを割いていました。

たしかに、本を速く読む技術は大切だと思います。

目次を読んで、全体の内容をざっと理解し、そこから自分のアンテナに引っかかったページを中心に読んでいく。これをやれば、1冊の本を速く読み終えることができます。

ただし、この方法はすべての本で通用するわけではありません。

目次を読んだって理解できないことがあるし、どのページを読んでも自分のアンテナに引っかからない可能性があるからです(特に難読本の場合)。

そこで登場するのが、本書で述べている「遅く読む」ことの重要性です。

教科書をおそく読めば読むほど、そのほかの本をますますはやく読むことができ、教科書をはやく読めば読むほど、別の本の読み方がおそくなる。

ある種類の本をおそく読むことが、ほかの種類の本をはやく読むための条件になります。

どうでしょう、これ。僕はめちゃくちゃ腑に落ちました。

ザックリ言い換えると、「まずは入門書(ここでいう教科書)を時間をかけて遅く読めば、結果的に難しい本でも読めるよになる」ということです。

入門書で基礎知識を身につけておけば、むずかしい本を読む時間も短縮できるよ、ということです。

正直、冷静に考えてみれば当たり前の話なんですよ。でも、この当たり前をできない人が本当に多い。

僕も何度も失敗してますが、読書に挫折する要因の多くが「自分のレベルよりもむずかしい本を読んでいる」からなんですよね(背伸びして難しい本を読みたくなる気持ちはよくわかる…)。

でもそれは、結果的に時間のムダになることがほとんどなわけです。

それだったら、むずかしい本を読みたい衝動をグッと抑えて、知らない知識を教えてくれる入門書から読んだほうが、結果的には時間の短縮になります。

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速く読むための方法論が、とてもわかりやすい

本を早く読む

本を遅く読む効用だけでなく、速く読む意義、その読み方についてもわかりやすく書かれています。

私は目次をみていちばん知りたいと思う章を拾いだし、その終わりのほうの何ページかを読んでみます。そこに結論が出ていれば万事好都合です。出ていなくても、著者が言いたかったらしいことのおよその見当はつくことが多いでしょう。

僕もこの読み方を実際にやっています。

章の最初のほうって問題提起が多いんですよね。そこはサラッと読めばOK。

中盤はだいたい「たとえ話(例示)」が増えてくる。ここを、僕はほとんど読み飛ばします。

で、最終的な結論は章の最後のほうにまとまっています。結論部だけはじっくり読みます。

こんな感じで、章を最初から読まなくても、その本が伝えたいことは読み取れてしまうことは多いです。

短い人生で読める本は限られていますから、少しでも多くの本に触れるにはこうした読み方のコツは知っておいて絶対に損はないでしょう。

ちなみに、本書では目を速く動かすといった技術的な速読については解説していません。

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一人の作家の作品だけを読み続ける

僕は貴志祐介、北方謙三が好きで、一時期この2人の作品ばかりを読んでいたことがあります。

こんな感じで、特定の作家にハマる経験をしたことがある人は多いと思います。

本書ではそこから一歩踏み込んで、特定の作家しか読まないと決め込んでしまう読書法が紹介されています。

読者が若いときには作家も若く、読者が年をとるにつれて作家もまた年をとってゆくので、その坂の発展を自分自身の興味の発展と並べながら、細かくたどることができるというたのしみもあります。

永井荷風も森鴎外以外読まないと決めていた時期があったようです。

作家と一緒に、年数を重ねてみる。なんとも素晴らしい本の読み方じゃないですか。

この読み方は実践するのは、いろいろハードルが高いんですが、こんな読み方ができたらめちゃくちゃ楽しそうですよね。

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読まない本を決めることが重要なワケ

本選びは自分のレベルと興味に合わせて

読書を効率的かつ効果的にすすめていくには、どの本を選ぶか?ということをまず考えますよね。

もちろんそれも大切なんですが、ここでは「読まない本を選ぶ」ということの重要性も書かれています。

もっとも、ここに百冊の本があるとして、そのなかの九十九冊を読まないですませるということは、つまり、一冊を読もうと決めるのと同じことです。読む本の選択と読まない本の選択は表裏の関係にある。

目的を立てて、その目的のために本を読む、そのほかの本は読まないと決めるのも、本を読まない工夫の第一歩であり、基本であるわけでしょう。

もっと広くいえば、やらないことを決めるのと同じです。やることを決めるのではなく、やらないことを決める。そうすれば余計なものが排除されて、やることに一点集中できるから効果が高まります。

読まない本を決めるというのは、時間の使い方でもあるわけです。

自分がどんな目的で本を読むのかを明確に決めれば、余計な読書に時間を使わなくて済むので、不要な本や難読本に時間と体力を奪われずに済みます。

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読書が苦手な人、本を読むスピードが遅い人。読書に悩みを持つ人のほとんどは「本選び」に失敗しています。本選びに時間をかければ、読書は得意になるし、読むスピードも速くなります。

難しい本が読めなくても、劣等感を感じる必要なし

思いついたら気軽に調べられるので、語彙力が増えた

著者の加藤周一さんは、東京大学医学部を卒業するほどの秀才です。

僕からすると、「こんなに頭の良い人なんだから読めない本なんてないだろうな」と勝手に想像していました。

でも、実際は読めない本があって、そして読めないからといって気持ちを萎えさせる必要はないと励ましてくれています。

少しページをめくってみて、あるいは少し読みかけてみて、考えてもわかりそうもない本は読まないことにするのが賢明でしょう。一冊の本がわからないということ、ただそれだけでは、あなたが悪いということにもならず、またその本が悪いということにもならない。

世にいわゆる「むずかしい本」といわれるもののかなりの部分が、(中略)著者の責任であって、読者の側で、わからないことに劣等感を感じる理由は少しもありません。

うーむ、この言葉にどれだけの人が救われるでしょうか。

僕も、むずかしい本を読んで挫折するたびに「ああ、自分はなんてダメなんだろう」と思うことが多々あります。

でもそれは、決して自分が悪いとは限らない。

すべての人間と相性が合うわけではないように、すべての本を楽しく読めるわけはないんです。

苦手な人間と距離をとるのと同じように、読めない本とは距離を置く。読めなければ投げる。

これが、むずかしい本との適切な付き合い方なんだろうと、強く確信しました。

楽しい本とはじっくり向き合い、苦手な本とはキッパリ関係を断つ。

この指針が手に入ったことで、これからは楽観的でストレスフリーな読書人生を送れそうです。

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Ayumu Yuasa

ライター。書店と出版社での仕事を経験後、本と英語のWebマガジン「コトビー」を運営。2017年より株式会社ミシェルベース代表取締役。1988年、千葉県生まれ。読書量は年間200冊ほど。ビジネス書が好きです。

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