こんにちは、あゆむです。
たまに思うことがあります。本屋に行って「ここにある本のほとんどは読めずに死んでいくんだよなぁ」と。
要するに、人生で読める本の冊数は限られていて、読める数は圧倒的に少ないということです。
少ない時間でたくさん本を読むには「読むべき本」と「読まなくていい本」の仕分けが大事。
今回は『読書の技法』という本を紹介しつつ、速読と超速読のやり方をくわしく解説したいと思います。
速読と聞くとハードルが高く感じるかもしれませんが、本書の読書術なら誰でもできます。
【本の要点】読まなくていい本を仕分ける
まずは『読書の技法』の要点をまとめて見ておきましょう。
- 『読書の技法』要点まとめ
- ▪ 本の読み方には「熟読」「速読」「超速読」の3種類がある
- ▪ 基礎知識を学ぶ本、読むに値する本は「熟読」する
- ▪ 1冊30分。内容をざっくりと読む「速読」
- ▪ 1冊5分。読むべき本を仕分けする「超速読」
- ▪ 熟読した内容を”身”にするには、その本に関する基礎知識が必要
この本のなかで使われている「速読」という言葉は、世の中で一般的に理解されている速読とはちょっと意味合いが違います。
一般的な速読というのは、文字を目で速く追ったりして、とにかく本を速く読むことですよね。
一方、本書では「熟読」「速読」「超速読」という言葉があるように、速読という言葉は相対的な意味でしか使われていません。
つまり、じっくり読むべき本は「熟読」。30分程度で内容をザッと理解するのが「速読」。読む本を5分程度で仕分けをするのが「超速読」ということです。
300冊中、熟読できるのは月4〜5冊
この本の著者である佐藤優さんは元外交官。知る人ぞ知る「知の巨人」です。毎月の読書冊数は300冊にも及びます。
こういう人の話を見聞きすると「とんでもない才能があるんだ」とか「頭がズバ抜けていいからそんなに本を読めるんだ」と思いますよね。というか、そう思わないとやってられません(笑)
しかし、実際には熟読できる本の冊数は決して多くないことがわかります。以下、引用。
筆者が毎月目を通している300冊のうち、熟読している本は洋書を含めて平均4〜5冊である。
熟読する以外の本は、速読、超速読のいずれかで処理する。(中略)1冊5分程度で処理する「超速読」が240〜250冊、30分から2〜3時間かけて取り組む「普通の速読」が50〜60冊である。
いかがでしょうか。人によってはガッカリするかもしれませんが、「月300冊読む」というのはすべての本を熟読しているわけではないということです。
僕がここで伝えたいのは、特別な才能や能力がなくても、誰だって毎月の読書数は増やせるということ。
佐藤優さんですら熟読できるのは毎月4〜5冊というわけですから、十分に達成できる目標ではないかと思います。
この本で紹介する「速読」「超速読」を実践すれば、読める本の数は確実に増えるということです。
基本書は熟読して基礎知識を身につける
「いかに本を速く読むか」を考えるうえで、熟読は必要不可欠です。
なぜなら、熟読で身につけた基礎知識が、本を速く読むことに役立つから。
本書では、本を速く読むためには基礎知識が欠かせないと述べています。そして、基礎知識こそ熟読で時間をかけて身につけるべきです。
まったく未知のジャンルの本を読むときって読書スピードがめちゃくちゃ遅くなりますよね。
「英語の入門書」と「ロシア語の入門書」を読んでみてください。ロシア語の本のほうが圧倒的に遅いはずです。
つまり、本を速く読むためには、その本に関わる基礎知識を知っておく必要があるということです。
じっくり読むだけでなく、同じ本を3回読んで読書ノートを取るというのが、本書における熟読のポイントです。
基本書は、最低3回読む。第1回目は線を引きながらの通読、第2回目はノートに重要箇所を抜書き、そして最後に再度通読する。
正直、これをやるのはかなりシンドい作業だと思います。
多くの人にとって、同じ本を繰り返し読むのは苦痛でしょうし、抜き書きして読書ノートを取ることに抵抗感を感じる人も多いでしょう。
しかし、基本書を読んでここまで時間をかけるからこそ、本を読むスピードが上がるし、読める本の幅(ジャンル)も広がるんだと思います。
僕は同じ本を3回読むという読書法は採用していませんが、本を読みながら必要な箇所をノートに抜き書きしておく作業をやるようにています。
そのおかげで読んだ本の内容を忘れにくくなったので、効果は実感しています。
1冊5分の超速読で「読まない本」を仕分ける
超速読というのは、読む本と読まない本を仕分けするための作業です。5分の制約を設け、そのなかで超速読をします。
この超速読によって、本を以下の4つに分類します。
- ① 熟読する必要がある本
- ② 普通の速読をして、読書ノートをつくる本
- ③ 普通の速読をするが、読書ノートはつくらない本
- ④ 読まなくてもいい本
限りある時間のなかで、自分にとって本当に意味のある本を読むためには、こうした仕分け作業が絶対に必要です。
読書に不慣れな人はこの仕分けが苦手です。というより、仕分けという作業をしていないと思います。
手にとった本を何でもかんでも読んで時間を浪費するのはもう終わりにしましょう。
「これは読むに値する」という本だけを読むスタイルに今すぐ切り替えるべきです。
そうすることで、質の低い本や自分にとって不要な本を排除することができます。
超速読の具体的な手順
肝心の超速読のやり方ですが、非常にシンプルです。
- ・まずは序文の最初1ページと目次を読む
- ・あとはページをひたすらめくる
- ・文字は読まず、ページ全体を見る
- ・目に留まる用語などは印をつけておく
これだけ?と思われるかもしれませんが、これだけで本の仕分けはできます。
僕もこれまで何冊もの本を仕分けしてきましたが、多くの本は「まえがき」と「目次」だけで判断可能です。
僕が特に意識するのは、まえがきの「本書は〜」という書き出しで始まる文。ここには、どんな読者を対象にしていて、どの程度のレベルの本なのかが書かれています。
つまり、まえがきをチェックするだけで、いまの自分に必要なのか不要なのかがだいたいわかってしまうのです。
そのあと目次を読めば、本の内容がおおよそわかるし、自分の知識レベルに合致しているかが読めます。
目次を読んでみて、自分の知らない用語ばかり並んでいたり、興味のない言葉が多かったら、その本は読まないほうが良いと判断できます。
僕もこの仕分けを始めてから本を読むスピードおよび冊数が劇的に増え、今では年間100冊程度は読めるようになりました。
普通の速読で「インデックス」をつける
超速読で「普通の速読」に仕分けした本は、だいたい30分〜2、3時間かけて読んでいきます。
普通の速読の要点は、
- ・定規を当てながら、1ページ15秒で読む
- ・重要な箇所はシャープペンやふせんで印をつける
- ・内容を細かく理解する必要はない
- ・「あのページに、あれが書かれている」というインデックスをつける感覚
- ・あとでそのページを参照できるようにしておく
普通の速読も、読むスピードは速めです。1ページ15秒ですから、じっくり内容を理解している時間はありません。
とはいえ、じつは1ページ15秒というのは無理難題ではなく、十分にできる速さです。
なぜなら、すべてのページが重要箇所なんてことはなく、しっかり読むべきページというのは意外と少ないからです。
そして、読んでいる段階で理解できなくても、そこで時間はかけません。あとで思い返したときに「あのページにあれが書かれてている」ということがわかればそれでOKです。
そういう本は手元にとっておいて、あとで参照できるようにしておきます。
本を仕分ける「5分の超速読」は最低限身につけたい
この本では、熟読、速読、超速読についてかなり細かい技術まで紹介されています。
すべてを理解して実践できればいいですが、いきなり全部やるのは無理ですし、挫折してしまう可能性もあります。
僕が読んだ感想としては「とりあえず超速読だけは身につけるべき」だと思います。
難しくて読めない本、興味がない本に時間を割くのは本当にもったいないので、最初の段階で除外すべき。
超速読による仕分けが上手くなれば、良い本にたくさん時間をかけられるようになり、毎日の読書時間がもっと豊かになると思います。
佐藤優が『クレヨンしんちゃん』を読むとこうなる
本の終盤では、マンガや小説の読み方についても解説があります。
意外なのが、佐藤優さんが『クレヨンしんちゃん』(以下、クレしん)を取り上げていることです。
僕は全50巻を5回以上通読するほどのクレしん好きなんですが、「佐藤優がクレしん読むとこうなるのか」と感心しつつ、解釈が深すぎて少し笑ってしまいました。
しんちゃんが通うアクション幼稚園は「社会の縮図」、家庭や幼稚園での人間関係は「人間と人間の関係の縮図」として読むことができる。
クレしんを語っているとは思えないほどカタい解釈から始まるのですが、母のみさえに関する評はもっとすごいです。
母親のみさえにとって、しんちゃんは自分の延長であり、彼を自分の思い通りに育てようとしている。ユング心理学で言うところの「グレートマザー」だ。
まさかクレしんの話のなかでユング心理学が出てくるとは…。頭が良い人がクレしんを読むと、ここまで深い洞察ができるのだなと感心してしまいました。
もっと気楽に読めばいいのに…と思いつつも、知識が深いと解釈の幅が広がるのでマンガの楽しみ方がより多彩なものになるな、とも思いました。