こんにちは、アユムです。
女性誌についてを調べていると、いろいろな発見があるので勉強になります。
さて、新文化によると、集英社が発行する女性誌3誌の売上げが大幅に伸びているとのことです。
女性誌「eclat」(エクラ)が19カ月連続で販売部数を伸ばしているほか、「BAILA」(バイラ)は直近5年間の平均実売数が右肩上がり、「Marisol」(マリソル)も今年2月から3カ月間、前号比40%増、61%増、23%増と大幅伸長している。【新文化オンラインより】
ただ、集英社販売部の売上高自体は、前年比2.6%減となる見通し。
その中で右肩上がりの伸びを見せる女性誌はひときわ輝いて見えるにちがいありません。
雑誌全体の売上げが落ちているのに、ここまでの伸びを見せているのには何か理由があるはずです。
今回はコトビー独自の分析でこの女性誌3つがなぜ売上げを伸ばしているのかについて考えてみたいと思います。
数字が多めに出てきてしんどいかもしれませんが、最後までお付き合いくださいませ。
「eclat」(エクラ)は50歳前後の主婦がターゲット
19カ月連続で販売部数を伸ばしているという驚異の女性誌。それが「エクラ」です。
2007年に創刊された「eclat」(エクラ)の特徴はなんといっても50歳前後の女性をターゲットにしたファッション誌であるということ。
ちなみに「eclat」はフランス語で「輝き」を意味します。
この世代をターゲットにしている雑誌は他に「ミセス」(文化出版局)や「GOLD(ゴールド)」(世界文化社)、「HERS(ハーズ)」(光文社)などがあります。
ただ、「ミセス」はもともと「装苑」というモード系ファッション雑誌の影響を受けてつくられてきたという経緯があります。
そのため「ミセス」で紹介されるファッションもモード寄りになっています。
また、価格が「1100円」と月刊誌にしては高いのでライバル誌と価格面では劣ります。
一方の「eclat」(エクラ)は940円。ミセスより160円安いです。
こうして調べてみて気づいたこと。それは、この世代の雑誌が全体的に値段が高いということ(笑)お金があるから関係ないのか。
ここまでの「eclat」(エクラ)の強さをまとめるとこんな感じです。
- ・そもそも50歳前後をターゲットにした雑誌が少ない
- ・ライバル誌に比べて、扱うファッションが一般向け
- ・価格がライバル誌よりもお手頃(ただし「HERS」のほうが840円と安い)
- ・子育てを終えた主婦の需要を上手く取り込めている
「BAILA」(バイラ)は30歳前後の女性がターゲット
直近5年間の平均実売数が右肩上がりの堅実な女性ファッション誌。それが「BAILA」です。
30代をターゲットにした雑誌はまさにレッドオーシャン。
そんななか、きちんと実売数を上げている「BAILA(バイラ)」は2001年創刊です。
BAILAという雑誌名はスペイン語の「ダンス」に由来します。
BAILAのライバル誌は「CLASSY.」(光文社)、「Oggi」(小学館)、「MISS」(世界文化社)など。
このへんのライバル誌は知名度もバツグンで、かなりの激戦ジャンルです。
扱うファッションもコンサバ系がメインで、通勤服やハイブランドを紹介しています。
BAILAが売り上げが好調な理由は姉妹誌からの読者の流入があると考えられます。
集英社は「MORE」という20代半ば〜30歳の女性をターゲットにした雑誌を出していますが、このMOREは女性ヤングアダルト誌の中で圧倒的な発行部数を誇っています。
「MORE」は343,334部。2位は「with」(講談社)で306,667部です。【日本雑誌協会調べ(期間:2014年1月〜3月)】
大量のMORE読者が卒業して、次に読む雑誌として同じ集英社のBAILAを選ぶというのはごく自然な流れです。
CanCamとAneCanがわかりやすい例ですが、姉妹雑誌をきちんとつくるというのは読者を他誌にゆずらないためにも必要な戦略です。
また他に、BAILAが強い理由としてモデルの起用方法があると推測されます。
女性誌には専属モデルがいますが、ライバル誌であるCLASSYとOggiは基本的に毎号同じモデルが表紙を飾っています(CLASSYは小泉里子、Oggiは松島花)。
これに対してBAILAは梨花、竹下玲奈、ヨンアなどいろんなモデルを表紙に起用。
毎号同じモデルを表紙に起用するのは、良し悪しあると思いますが、その時々の流行に合わせてモデルを上手く使い分けているのが功を奏しているのでしょう。
BAILAの強さをまとめると以下のようになります。
- ・姉妹誌の「MORE」を卒業した読者がBAILAに流入している
- ・表紙を含めた、雑誌でのモデル起用法
「Marisol」(マリソル)はアラフォー世代の既婚女性がターゲット
今年2月から3カ月間、前号比40%増、61%増、23%増と驚異の売り上げ。こんにちは、「Marisol」です。
「Marisol」は2007年創刊。雑誌名の由来はスペイン語の「mar=海」と「sol=太陽」を合わせた造語です。
ライバル誌には「VERY」(光文社)、「STORY」(光文社)があります。
VERYとSTORYはともに光文社で、姉妹誌の関係があります。
この2誌の発行部数は女性ミドルエイジ誌の中で圧倒的です。
「VERY」は338,400部、「STORY」は267,550部。【日本雑誌協会調べ(期間:2014年1月〜3月)】
一方のMarisolの発行部数は「113,334部」と、2倍以上の差をつけられています。
見かけ上は少ないですが、前年の発行部数が86,667部なので、1年間で確実に読者を増やしているのが見てとれます。
決定的な要因はなかなか見いだせませんが、アラフォー世代の思考が多様化して、上記の2誌から読者を奪っている状況が起こっていると推測できます。
40代の既婚者は所得も高く、ファッションや美容にお金をかけることができるので、こうした流れがアラフォー向け雑誌の裾野を広げているのでしょう。
卒業した読者をしっかり囲い込むことの重要性
ここまで集英社の女性誌3誌について分析しました。
売上げを伸ばす雑誌にはきちんとした理由があって、それにはいろいろな要因があります。
こうして調べてみることで発見することが非常に多かったです。
特に、「姉妹誌」については非常に重要だと再認識しました。
AneCanが出たときは単純に「こんな雑誌つくって意味あるのかよ?」なんて思っていましたが(笑)、今となっては大いにうなずけます(その後、休刊しましたが)。
今後は高齢化が進んでいくことを考えると、50代向け、さらには60代向けの雑誌が相次いで創刊される流れが生まれるかもしれません。
利益率の高い雑誌は出版業界を支える存在。今後も雑誌から目が離せません。
【関連記事】
・雑誌「VERY」を愛読する「VERY妻」にはくれぐれもご注意を
・女性ファッション誌の発行部数ランキング!(2013年10月〜12月)