人は見た目がなんちゃらとよく耳にします。
それと同じで、本も見た目がとっても大事。
どんなに良い内容が書かれている本でも、カバーデザインがイマイチだと台無しになります。
本は基本的に1作品ずつカバーがちがいます。
しかし、ご存知の通り「新書」だけは基本的に装丁を統一していますね。
これは装丁デザインにかかるコストを低く抑えることで、価格を安くできるメリットがあるからです。
出版社ごとに新書のカバーデザインは異なりますが、ハッキリ言って出版社ごとで新書のカバーデザインには雲泥の差があります。
講談社現代新書の装丁を参考に、思わず集めたくなるカバーデザインについて考えてみましょう。
色彩豊かな講談社現代新書のカバーデザイン
私が収集癖を刺激される新書の筆頭が「講談社現代新書」です。
シンプルながら、インパクトのあるデザイン。色づかい。
本屋に並んでいるときもパッと目につきやすいデザインです。
背表紙のタイトルも見やすいので、新書コーナーでもっとも目につくといっても過言ではありません。
カラフルな新書デザインに収集癖を強く刺激され、思わず自宅の書斎に並べたくなります。
ほとんどの出版社が新書のカバーを統一しているなかで、1冊ずつ色を変えるのはなんとも印象的です。
ちなみに、色については1つとして同じ色は使われていません。
これはこの装丁をデザインした中島英樹氏の考え方によるものだそうです。
参照:「新書編集長にきく」
講談社現代新書40周年を機にデザインが刷新されたわけですが、以前のデザインとはかなり違いがあります。
ちなみにリニューアル前の講談社現代新書のカバーデザインはこんな感じでした。
だいぶ印象が異なりますね。
かなり古さを感じさせるデザインですが、これはこれで味わい深い印象も残っています。
新書はタイトルが命
さきほども説明したとおり、新書は一般書とはちがって装丁(カバー)がすべて統一されています。
講談社現代新書は統一感を持たせつつ、1冊ずつ色を変えてちがいを持たせているところが秀逸ですね。
とはいえ、やはり一般書のようにカバーのインパクトで本を売り出すことはできません。
そこでモノを言うのが、なんといっても新書の「タイトル」です。
カバーにインパクトを持たせられないですから、タイトルで引っ張るしかないですよね。
ちなみに、過去ベストセラーとなった新書のタイトルはどんな感じだったのでしょうか?
ちょっとだけ振り返ってみましょう。
- 「国家の品格」藤原正彦
- 「女性の品格」坂東真理子
- 「生物と無生物のあいだ」 福岡伸一
- 「いつまでもデブと思うなよ」 岡田斗司夫
- 「人は見た目が9割」 竹内一郎
- 「バカの壁」養老孟司
- 「下流社会」 三浦展
- 「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」 山田真哉
- 「呆韓論」室谷克実
- 「里山資本主義」藻谷浩介
- 「他人を攻撃せずにはいられない人」片田珠美
時系列はバラバラですが、いずれもよく売れた新書ばかりです。
ザッと見た限りでは、新書のタイトルは2つの傾向に分けることができます。
- 1.短く簡潔な名詞で止めるタイトル
- 2.見た人に「?」を浮かばせるタイトル
1.短く簡潔な名詞で止めるタイトル
たとえば、「国家の品格」「バカの壁」「呆韓論」などはとても簡潔でシンプルなタイトルです。
決して内容を具体的にあらわしているわけではありません。
しかし、”口に馴染む”とでもいいましょうか、なんとも語感の良いタイトルばかりですね。
2.見た人に「?」を浮かばせるタイトル
タイトルを見た次の瞬間には、思わず本を手にとってしまうタイプです。
「いつまでもデブと思うなよ」「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」「他人を攻撃せずにはいられない人」は、内容を暗に示しつつ、読みたくなる欲求を引き起こさせるタイトルです。
今後の新書はデザイン戦略が主流になる?
最近は新書の上からカバーをかぶせる方式が登場して、売り上げは上々のようです。
少しまでの例でいれば「人に強くなる極意」などは、佐藤優さんの鋭い眼光を上手く新書の表紙に使っています。
とはいえ、すべての新書カバーにそれだけのコストをかけていては、新書の低コストという利点が失われてしまいます。
ですから、なんとかして低コストのまま新書のウリのばしを図るのがいいことは言うまでもありません。
上からカバーをかけなくても本を手にとりたくなる、そんな新書本来のカバーデザインが追求されることを望むばかりです。
個人的には新潮新書、扶桑社新書、中公新書ラクレあたりはカバーデザインを見直すべきだと考えています。
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