読書でお金が稼げる時代が来た。「しるし書店」が本の価値をひっくり返すかも

本を使って、いかに新しい仕掛けをするか。

この業界に身をおいてると、それこそいろいろなアイデアを耳にします。

でも、最近はどうも飽和状態というか、「そのアイデア、どっかで聞いたことあるなー」という話も増えてきました。

今回はそんな状況に大きな刺激を与えてくれるサービスを取り上げたいと思います。

読書人口を増やす可能性もあるし、あたらしい副業にもなるアイデア、「しるし書店」です。




読書して汚れた本が、大きな価値を生む。それがお金になる

2017/03/13にキャンプファイヤーというクラウドファンディングで「しるし書店」の企画を立ち上げ、目標金額を大きくクリアして実現に至っています。

仕掛け人は、キングコングの西野亮廣氏。

すでに一年近く前から始動している企画なので、知っている人も多いと思います。

「店主が読んで、店主が”しるし”を入れた世界に一冊だけの本」を取り扱う古本屋さんの、プラットフォームをつくりたい。

これが、西野が考案したコンセプトです。

つまり、本を読んでふせんを貼ったり、メモとして本に書き込んだり、折り目をつけてしまった本を、ちがう誰かに販売できるというもの。

「そんなの、中古本のなかでもさらに状態が悪いんだから売れないでしょ」と思う人もいるでしょう。

実際、古本屋に書き込みのある本を持ち込んでも、買い取ってくれない可能性が高い。

でも、どうでしょう。有名人や経営者が読んだ”しるし本”だったら。これはむしろ、新品の本より価値が高くなりますよね。

すっごいわかりやすい例でいえば、イチローが読んでいる本って気になる人が多いと思います。

「どんな本を読んでいるか」という情報だけでも貴重ですよね。でも、イチローが実際に読んで書き込みをして、折り目をつけて、ふせんまで貼っている本だったら、もはやお宝といっても過言ではありません。

つまり、しるし書店というのは、しるしがついた本に価値を見出す人たちが、本の売り買いをする場所というわけです。

しるし本は、新品の本の売り上げも伸ばす可能性を秘めている

それだと新刊本の売れ行きが落ちるじゃないか、という見方もあります。

でも、しるし書店には「新品を購入する」というボタンもきちんと実装されています。

これはつまり、その人の書棚としての役割も担っているということなんです。

たとえ折り目や書き込みの付いたしるし本が買えなくても、好きな人の読んでいる本は自分も読んでみたいと思うのがファン心理ですよね。

本の著者は、しるし本として売られた中古本1冊分の利益は逃すことになるけど、一方でより多くの本が売れる可能性もあるわけです。

どこの誰かも知らない人が汚した本なんか売れるのか?

とはいえです。

はたして、「おまえ誰やねん」ていう人の本を買おうと思うでしょうか。これがお金を稼ぐ(マネタイズする)うえで大きな課題となります。

もし副業として始めるのであれば、しるし本にどんな価値があるのかを明確にしなければいけません。

しるし本に価値を持たせられるのは、たとえば以下のようなケースです。

  • ・有名人、芸能人、経営者など知名度がある
  • ・知名度はないけど、肩書に権威がある or インパクトが凄い
  • (医者、キャバ嬢、東大生、マグロ漁船の乗組員)
  • ・同じ境遇や立場にいて、参考になる
  • (同じ障害、同じ夢、同じ悩みを持っている)

まず有名人系統については、わかりやすいと思います。もはやファングッズの一つとして、しるし本を買うからです。

2つ目は肩書きに価値がある人のしるし本です。医者が書き込みをして内容がわかりやすくなったしるし本は、ありがたがれるでしょう。

あとはキャバ嬢などの特殊な職業だと、コアな読者を集めることが高いかもしれません。

そして、しるし書店を理解できない方々へにも書かれているように、東大生が書き込みをした参考書は三流大学の人が書き込みをした参考書よりも価値があるでしょう。

このように、しるし本に価値を持たせるには、当然ながらしるしを付ける人に何らかの価値がないといけません。

そういう意味では、自分をブランディングしたり、情報を共有できるスキルが求められるでしょう。

ただ単に書き込んだり折り目がついた本でお金が稼げるほど甘くはありません。

しるし書店に「スカウト機能」があれば、好きな読書家にしるしを依頼できる

こうなってくると、「プロ読書家」とも呼ばれる職種が生まれる可能性がゼロではないわけです。

たとえば、いまのしるし書店に「スカウト機能」をつけてみるとどうなるでしょう。

いま気になっている本や、むずかしくて読めない本があなたの手元にあるとしましょう。その本をプロ読書家に読んでもらって、しるしを付けてもらうのです。

そうすれば、どんな視点でその本を読めばいいのかわかりやすいですし、どう解釈すればいいのか、理解できるでしょう。

さらにいえば、あなたの好きな読書家と同じ価値観を共有できたりもします。

単純にしるし本を売るところからもう一段階ステップアップして、「あなたの本に”しるし”つけます」的な見せ方でお金を稼ぐことも可能になるでしょう。

自分ならどうやってしるし本を”作るか”。戦略的読書がはじまる

もし、しるし本を売ってお金を稼ぐことを目的とするなら、自分本位だけでなく、誰かに伝えるための読書術が必要になってくるでしょう。

つまり、第三者が読んで、より深い知見を得られるような書き込みをしたり、要点をおさえた折り目付けが求められるということです。

こうなってくると単純に自分のために楽しむ娯楽的な読書とは違う次元になってくるので賛否ありそうですが、これもあたらしい職業が生まれる一つのパターンといえるかもしれません。