なぜ『中間管理録トネガワ』はこんなにも面白いのか?冷静に分析してみた

なぜ『中間管理録トネガワ』はこんなにも面白いのか?冷静に分析 おすすめの本

いま、『中間管理録トネガワ』(以下、トネガワ)にドハマリしています。

「このマンガがすごい!2017年」・オトコ編1位を受賞していて、名実ともに認められた作品です。

基本的には笑えるマンガなんですが、なぜこんなに面白いんだろう?と不思議に思ったので、冷静に分析してみました。

(※本記事では引用を超えない範囲でマンガのコマを使用しております。問題がございましたらご連絡いただけますと幸いです)

中間管理録トネガワは管理職の苦悩を描いた作品

知らない人のために説明しておくと、このマンガは『賭博黙示録カイジ』の派生作品です。

つまり”カイジ”の登場人物であるトネガワ(利根川幸雄)を主人公にした作品になります。

話のベースは、トネガワの上司である兵藤会長の無茶ぶりに悩みながら、どう期待に応えていくかを描いた笑える作品になっています。

最初読んだときは「福本先生ってこんなコミカルな話も書けるんだ」と思いましたが、じつはトネガワの原作者は萩原天晴という漫画家で、福本先生は協力者として作品に関わっています。

”カイジ”の世界観がハードルを下げている

トネガワと兵藤会長

トネガワがなぜこんなに笑えて面白いのか、冷静に考えてみましたが、まず総じて言えるのは「”カイジ”の暗い世界観との対比で”トネガワ”のハードルが下がっている」というのがわたしの考えです。

こう言うとトネガワに真の面白さがないみたいに聞こえるかもしれませんが、そんなことは決してありません。それを差し引いても、相当おもしろいです。

さて、その「ハードルが下がっている」という意味ですが、一言でいえばギャップです。トネガワの場合には「恐そうな人が意外とおもしろい(or かわいい)」というギャップが作品に大きなインパクトをもたらせています。

冒頭のコマでいうと、無茶ブリばかりする兵藤会長が「ハローユーチューブ」について言及する、つまり一応はヒカキンをチェックしてるところに面白さがあるわけです。

こうして説明するのはナンセンスかと思いますが、もともとカイジが持っていた重くて暗い世界というバックグランドにコミカルさを持ってきたことが大きな成功要因なのではないかと思います。

ポンコツさの表現が笑える

トネガワには黒服を着た部下がたくさんいます。

部下には優秀な部下もいれば、無能な部下もいます。笑えるのは無能な部下についての話なんですが、そのポンコツさの表現が丁度いいんですよね。

たとえば、トネガワには海老谷という黒服の部下がいるのですが、こいつがまあポンコツ。正確にいえば、熱意はあるんだけど空回りして結局失敗するパターンのポンコツさです。

限定ジャンケンというイベント会場を決めるためのプレゼンでそのポンコツっぷりを発揮してくれます。

『トネガワ』海老谷のポンコツっぷり

プレゼンに100の理由を持ってくる熱意は良いですが、どう考えても100個は多い。このあたりのズレを上手く笑いに昇華していると思います。

海老谷はそのあとも作品にちょくちょく出てくるのですが、そのたびに笑えるズレを見せてくれます。

いろいろあってトネガワに謝罪するときの喫茶店のシーンも個人的にはかなりお気に入りです。

トネガワと海老谷とデラックスパフェ

謝罪の熱意がありそうに見えるけど、本質的には反省してない海老谷をパフェで見抜くシーン。良い着眼点だなーと感心してしまいます。

ちょっとわかりづらい笑いではあるんですが、表面的でわかりやすい笑いよりも圧倒的に好みです。

「悪魔的◯◯」「圧倒的◯◯」「理外の◯◯」

トネガワ作品のなかで使われる言葉にも特長がありまして、特に目につくのが以下の3つです。

  • 「悪魔的◯◯」
  • 「圧倒的◯◯」
  • 「理外の◯◯」

マンガ作品固有の”ならでは”の言葉ってあると思うんですが、この3つはまさにトネガワ(福本作品)たらしめる言葉だと思います。

字面のインパクトからも伝わると思いますが、この言葉が使われているシーンは面白い裏切りや斬新なオチが待っていることが多いです。

作品ならではの言葉があると、そのマンガに対する愛着が湧きやすくなります。

もしわたしがいま食レポをしたら「悪魔的盛り付け」「圧倒的ジューシー感」「理外のかつお風味」とかいう言い方しか出てきません。

圧倒的体言止め…!

作品のなかで頻繁に使われる体言止めもトネガワの魅力です。というより、福本作品に受け継がれる特長といっても良いかもしれませんね。

体言止めとは、名詞や代名詞で終わる文のこと。

さきほどの海老谷のシーンでトネガワが放った「頼まん…!デラックスパフェ…!」というのがまさに体言止めです。

これをふつうに言うと「デラックスパフェは頼まんだろう…!」になります。体言止めの語感の良さが伝わるかな…?

体言止めの効果はいろいろあると思いますが、展開にメリハリが生まれるのは大きいと思います。

お笑いのツッコミでたとえるとわかりやすいかもしれません。つまり「ここで笑うんですよ」というのを体言止めで読者にわかりやすく教える効果があるといことです。

わたしはトネガワを読んでからというもの、日々の会話をなんとか体言止めにできないか考えるようになってしまいました。

まあ周りからしたら何だコイツと思われるでしょうし、特に意味はないんですが。

ともかく、会話に体言止めを取り入れるのはけっこう楽しいです。

挑戦して欲しい…!体言止め…!

カイジを知らなくても十分おもしろい

”カイジ”の派生作品ということで、カイジを知っているほうがトネガワは楽しめます。

でも、わたしはカイジを途中までしか読んでいない人間ですが、トネガワを存分に楽しんでます。

トネガワは全体のストーリーはつながっているんだけど、どちらかというと一話完結に近い展開になっているので、つながりをそこまで意識する必要がありません。こち亀みたいな感じですかね。

絵のタッチとか、カイジからの系譜を考えると男性向けのマンガになるんでしょうけど、トネガワは女性でも笑って読めるマンガだと思います。

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